5月診療予定表

5月の診療予定表をアップしましたので、ご確認ください。

ゴールデンウィークは、4月29日、5月3日および4日が午前診療となっております。

5月5日は休診日です。

肥満は怖い!?

 前回はメタボ鳥が多いというお話させて頂きました。では鳥が肥満するとどういう病気が多くなるのかをお話ししたいと思います。

 肥満が原因で起こる最も多い病気は、脂肪肝です。脂肪肝は、使いきれなかった中性脂肪が肝臓の細胞にたまってしまう病気です。初期の段階では、レントゲン検査で肝臓が大きくなっている程度ですが、進行すると徐々に肝臓の細胞が壊れ、血液検査で肝機能の低下がみられるようになります。肝臓は体の中の化学工場です。腸から吸収した栄養を体に必要な物に変えて利用しています。この機能が低下すると最も顕著に異常が出るのが羽毛と嘴です。羽毛と嘴に必要な材料を作れなくなってしまうのです。オカメインコの黄色羽毛症候群やコザクラインコのレッドフェザーなどはこれによって起こってきます。また嘴の質が悪くなると伸びてしまい、出血斑という黒い斑点が出てきます。また肝臓は、解毒する機能も持っています。体の中では常に体に毒となる物質も作られています。その代表的なものがアンモニアです。肝機能が落ちるとアンモニアの処理ができなくなり体にたまってきます。そして限界を超えると脳が刺激され、痙攣を起こします。この状態を肝性脳症といいます。

 次に問題となるのが脂質異常症(高脂肪血症)です。脂質異常症とは血液中のコレステロールと中性脂肪が上昇している状態です。人の方では、以前は総コレステロールが200mg/dl以上とされてきましたが、最近ではLDLコレステロール140mg/dl以上、HDLコレステロール40mg/dl未満とされ、中性脂肪が150mg/dl以上が診断基準とされています。LDLは悪玉コレステロール、HDLは善玉コレステロールのことです。鳥では、まだLDLとHDLの測定まではしておらず、総コレステロールで診断しています。鳥の値は鳥種によって異なりますが、一般的な小型鳥の総コレステロールの上限は250mg/dl、中性脂肪の上限250mg/dlです。これを超えると脂質異常症となります。血液検査をすると、少しでも肥満をしている鳥のほとんどはこの値を超えています。重度に肥満した個体では、総コレステロールが900mg/dl以上、中性脂肪が1000mg/dl以上という異常な数値になっていることもあります。

 脂質異常症の血液は、かなりドロドロしています。脂質によって血液の粘度が上がってしまっているのです。血液を全身に送っているのはポンプの役割をする心臓です。ドロドロした血液を送り出すにはかなり圧力を上げないと循環してくれません。つまり脂質異常症は、高血圧の原因となるのです。脂質異常症と高血圧は、動脈硬化や心臓病の原因となります。

 肥満は、糖尿病の原因にもなります。鳥の糖尿病の発生原因や病態は、まだ研究が進んでいませんが、実際に肥満症の鳥に糖尿病の併発がみられます。

ではここまで出てきた病名をまとめてみましょう。
・脂肪肝
・脂質異常症
・動脈硬化
・高血圧
・心臓病
・糖尿病

 これらはどこかで聞いたことありませんか?そう、実は人の生活習慣病と全く一緒なのです。鳥の肥満は、人と同じ病気の危険因子であるということがいえるのです。

 鳥の生活習慣を作っているのは誰でしょうか?他でもない、飼い主さん自身ですよね。カワイイだけで飼っててはいけません。普通に飼っているつもりでも、いつのまにか愛鳥を病気の危険にさらしてしまっているのです。今からでも遅くありません。鳥の食事、運動について改めて考えてみて下さいね(^^

メタボ鳥

 「鳥の病気は何が多いんですか?」といった質問をよく受けますが、実はメタボが原因で病気になる仔が増えています。メタボとは、メタボリック・シンドロームのことで、いわゆる肥満のことです。肥満の原因には、運動不足、食べすぎ、高カロリー食、栄養素の不足などがあります。

 飼い鳥の生活と言うのは、実は非常に肥満しやすい環境であると言えます。何故かと言うと、大きく言えば「生きていて当たり前」だからです。野生での生活は、常にリスクとの隣り合わせです。食べ物は自分で探さなければなりませんし、敵に襲われるかもしれない、雨や風から逃れなければなりません。つまり「生きることを目標」として全ての行動が決まってきます。どんな行動をするかというと、飛ぶんです!食べ物を探しに飛ぶ、敵から逃げるために飛ぶ、雨や風から逃れるために飛ぶのです。これが「生きていて当たり前」の生活になるとどうなるのか。食べ物は目の前にあるから飛ばなくてもいい、敵は来ないから飛んで逃げなくていい、雨や風はないから飛んで移動しなくてもいいとなるのです。これが鳥が運動不足に陥る原因の一つです。その他にもケージに入っていること自体でも飛ぶことを制限していますから、運動不足になります。実は野鳥でも、飼い鳥の同じ環境にすると肥満する個体がいるのも事実です。

 次に問題となるのが食べ過ぎです。鳥への餌のやり方は昔から不断給餌です。不断給餌というのは、常に餌をおいておき、好きなだけ食べさせるという方法です。この与え方は、本当に鳥に合っているのでしょうか?まず人間の場合を考えてみましょう。あなたは目の前にたくさん食べ物があって、好きなだけ食べていいといわれたらどうしますか?食欲旺盛な方はたくさん食べてしまうのではないでしょうか。しかし理性が働き、たくさんあっても適度な量しか食べない方もいるでしょう。では犬や猫ではどうでしょうか?ほとんどの犬や猫は食欲旺盛です。好きなだけ与えればどんどん食べてしまい、必要量しか食べない仔は少ないでしょう。ですから我々もそうですが、犬や猫の場合は食事量を決めて、1日2-3回に分けて食べているのです。
 鳥もそうなんです。たくさんあれば好きなだけ食べてしまうんです。人の場合は理性、つまり判断力があるために、これ以上食べると太るから止めようという行動が出来ます。しかし鳥にその理性があるでしょうか?脳の構造からいって、鳥は理性よりも本能が強いと言えます。食欲とは本能ですから、鳥がこれを理性をもって判断できるかというと、なかなか難しいわけです。ですから食べ過ぎてしまう鳥さんに対しては、食事を制限しなければなりません。

 3つめの問題は、高カロリー食です。鳥に与える食物で、高カロリーの物といえば種実類です。種実類には、ヒマワリの種、麻の実、サフラワー、エゴマ、ナタネなどがあります。これら種実類には、非常に多くの脂肪分が含まれています。鳥に種実類を与え始めた理由って知ってますか?実はただ単に「食べるから」です。つまり栄養的に必要だから与えていると言うわけではないのです。例えば人がよく食べる種実類にピーナッツがあります。子供がピーナッツを食べるからと言って、毎日好きなだけ食べさせたりしますか?そんなことしませんよね。だから鳥にも種実類をたくさん与えてはいけないのです。あくまでおやつ程度にしてあげて下さいね。

 最後に問題となるのが、栄養素の不足です。食べ過ぎているのに栄養が不足しているの?なんて矛盾を感じる方もいるかもしれませんが、ここで不足しているといっているのは栄養素、つまりビタミンやミネラル、必須アミノ酸などのことです。最近ではペレットを与えている方も増えてきましたが、まだまだ飼い鳥の主食と言えば穀類です。穀類をたくさん食べても摂取しているのは炭水化物ばかりで、ビタミンやミネラル、必須アミノ酸を十分に摂ることはできません。中でも特に重要となってくるのは、ヨードです。ヨードはミネラルの一つであり、摂取されると甲状腺に取り込まれ、甲状腺ホルモンの材料となります。甲状腺ホルモンの働きのうち、最も重要なのが代謝率を上げる作用です。甲状腺ホルモンが不足すると、代謝が悪くなり肥満や高脂血症を引き起こします。つまりヨードが不足すると、肥満が起こるわけです。その他、必須アミノ酸の中でも特にリジンが不足しがちになります。リジンが不足すると、肥満や脂肪肝の原因になります。

 このように様々な要因が重なり肥満しやすくなっています。ですので、普段からなるべく飛ぶ運動をさせ、食べ過ぎないように食事の制限を行い、種実類を与え過ぎず、栄養のバランスを整えるようにしましょう。食事の制限に関しては、また改めてお話させて頂きますので、自己流で無理なダイエットはしないで下さいね(^^