らくちゃんは、4歳7ヶ月の男の子です。半年前からろう膜が茶色くなり、近医にて診察を受けていました。数日前のレントゲン検査にて精巣が少し大きくなり、骨髄骨がみられるようになったので、精巣腫瘍の可能性があるため当院を紹介されて来院しました。

らくちゃんのレントゲン写真です。精巣は発情の時よりも少し大きいくらいです。上腕骨と大腿骨には骨髄骨が見られていますので、女性ホルモンが分泌されているのが分かります。
精巣が今後どのくらいの速度で大きくなるか分かりませんが、小さい内に取ってしまった方がリスクが少ないため、飼い主さんと相談の上、手術で取り除くことになりました。
お腹を切ってみると、右側の精巣が硬くなっており腫瘍化している所見が見られました。最初に精巣への血流を止血クリップにて止めて、その後レーザーメスで精巣に穴を開けて内部を超音波乳化吸引装置にて吸い出しました。
その後精巣をレーザーメスで切り離して右の精巣を取り出しました。次に左側を確認したところ、異常所見はありませんでしたが、今後腫瘍化する可能性を考えて、同手技にて取り出し、手術は無事成功しました


退院時のらくちゃんです。病気が治ってよかったね

今回は出血がほとんどありませんでしたので輸血は必要ありませんでした。精巣腫瘍は小さいうちに取ってしまった方が手術の成功率が高くなります。大きくなってからですと出血も多くなり、癒着している可能性も高くなります。取ってしまえば治る病気ですので、ろう膜が茶色くなってしまっているセキセイインコの男の子は、早期の診断、治療を受けた方がよいでしょう

[2012年4月30日(月)]