チヤちゃんは、1歳の女の子です。茨城県から来院されました。お腹に硬いものがあるため、卵詰まりと思い、近医を受診したところ、おしりに鉗子を入れられて出血し、それから食欲が無いとのことで来院しました。診てみるとおしり周囲が内出血をしており、黒くなってしまっていました。お腹を触ってみると、硬いものは卵ではなく、しこり状のもが触り、腹水も溜まっていました。1週間前まで卵を産んでいたとのことから、卵材性腹膜炎を疑い緊急手術を行なうことになりました。
お腹を切ってみると、茶色い腹水が大量に出てきました。腹水を除去した後に、腹壁のしこり部分を確認したところ、卵材の付着はなく、肝後中隔が肉芽腫状になっていました。まずこのしこり状になった部分を取り除き、その後卵管を確認したところ、卵管膨大部に腫瘍ができていました。卵管を腫瘍ごと摘出し、その後腹腔内をよく洗浄して、手術は無事成功しました


退院時のチヤちゃんです。ウズラは若くして腫瘍ができてしまうことが時折あります。今回は、卵管に腫瘍が出来てしまったために、卵黄が腹腔内に漏れてしまい、腹膜炎を起したと考えられます。今後は2度と卵は産みませんが、卵巣は残っているので発情はします。卵巣にできた卵黄が卵胞ごと落ちてしまうと、また腹膜炎を起こす可能性があるので、今後は発情抑制の治療を行なって経過をみていきましょう

[2014年8月31日(日)]