手術を受けたセキセイインコのふくちゃんのご紹介です。
ふくちゃんは、6歳3ヶ月の女の子です。7月中旬ごろから左の肩が盛り上がり、ここ1ヶ月で急激に大きくなってきたとのことで来院しました。診てみると、左の上腕骨に腫瘍ができていました。レントゲン検査をしてみると、上腕骨に異常が見られたため、骨肉腫が強く疑われました。肩周囲にまで腫瘍が成長しているため、手術の成功率は低いと考えられましたが、飼い主さんとの相談の結果、手術を行なうことになりました。
手術は、まず左肩の皮膚を全周に渡り切開しました。次に腫瘍周囲の筋肉を、半導体レーザーを使って凝固切断し、肩関節を確認しました。腫瘍が肩関節を巻き込んでいたため、烏口骨と肩甲骨を切断する肩帯骨切り術にて肩関節ごと切除し、手術は無事成功しました


退院時のふくちゃんです。セキセイインコの骨肉腫は転移が少ないため、手術で取り除くことは非常に有効です。上腕骨にできた場合は、通常肩関節から切断しますが、ふくちゃんのように肩関節を腫瘍が巻き込んで切る場合は、肩帯骨切り術を行ないます。肩帯骨切り術とは、烏口骨、肩甲骨、鎖骨(鎖骨がある鳥種の場合)を切断して、肩関節ごと摘出する手術法です。非常に難易度の高い手術ですが、今回のような場合は、この方法でないと摘出ができません。鳥は飛べなくなっても、何故か学習せず、何度も飛び降りてしまいます。今後は、高いところに1人で行かせないよう注意してくださいね
[2014年9月30日(火)]