なぜあなたの鳥は太ってしまうのか?Part③

なぜあなたの鳥は太ってしまうのか?Part①
なぜあなたの鳥は太ってしまうのか?Part②

鳥たちの求めているものとは何なのでしょうか?

生物が普遍的求めているものとして”安全でありたいと”と言うものがあります。安全であるためには、生理的欲求と安全欲求が満たされている必要があります。生理的欲求には、食欲と睡眠欲が含まれます。食べ物がなければ生きていけませんので、生物は完全に餌がなくなる前に食物を求めます。また寝る時は、周囲に注意を払うことができなくなるため安全な寝場所を求めます。安全欲求には、敵から襲われないことが最も重要です。群れを作る動物は、たくさんの個体の一部となることで、敵から狙われる可能性を下げています。これを希釈効果といいます。また安全欲求には、寒さや暑さから身を守ることも含まれます。換羽によって羽毛の質を変え、寒い時には群れで身を寄せ合い、暑い時には日陰や風通しの良いところに移動します。

え?、うちの鳥たちは安全で快適に生活しているですって?

はい、その通りです。しかしそれが鳥たちにどんな影響を与えているのでしょうか?飼い鳥と野鳥の生活の根本的な違いは何かというと、"自由"と"安全"です。飼い鳥には自由がありませんが、安全があります。野鳥には自由がありますが、安全は保障されていません。自由というのは、自分で選択する自由です。飼い鳥に与えられた選択肢は、飼い主が与えたものだけです。野性に比べれば、選択するために思考する量は圧倒的に少ないのです。

実はこの違いがストレス耐性を下げてしまう大きな原因なのです。飼い鳥は、食事も十分にあり、安全な寝場所もあり、敵も襲ってきません。また寒ければ暖房、暑ければ冷房で快適な温度で生活しています。この生理的欲求も安全欲求も満たされて、野生での大きなストレッサーを取り除いた生活は、一見非常に魅力的です。

しかしこれを人に置き換えて考えてみましょう。極端な例を示すと、感覚遮断実験というものがあります。人を密室に入れて外部からの刺激を遮断し、食べ物だけを与えるだけの生活をさせるとどうなるのか?人はこのように外部からのスレッサーを排除された状態にすると、すぐに幻聴や幻覚、妄想などの症状が出てきます。人は、適度な強さと持続時間のストレッサーを絶えず受ける事で、現実認識や感覚機能の正常性を維持している事が分かっています。

つまり鳥にも適度なストレッサーが必要なのです。適度なストレッサーとは何か?それは”野生に学べ”です。野生で鳥たちは何をしているのでしょうか?それは、1日の多くの時間を餌探しに費やし、そのためにたくさん飛んで移動します。その間も敵に襲われないか周りに気を払い、仲間と触れ合ってスキンシップをしたり、伴侶を探したり、巣穴の場所争いをしたり、縄張りを守ったり、そして夕方になると寝場所に戻って仲間と情報交換したりしています。生きるために鳥たちは、たくさんやる事があり、そして自らが考えて、行動を選択しているのです。適度なストレッサーを受けることで、ストレス反応が出る閾値が上がり、ストレスを感じずに生活することができているのです。つまりストレッサーが無いとストレス耐性が下がるばかりか、それだけでストレスとなってしまうのです。

飼い鳥たちは、本来やるべき”生きるために思考し行動する”ということをやらなくて良い生活をしています。生きることが目標なのに、生きてて当たり前になるわけです。そうするとどうなるのか?結果として、生きる目的である子孫を残すための行動が増える、つまり発情期が長くなり、非発情期にはやることがなくなってしまいます。

慢性的な発情は、特にメスには大きな身体的ストレスとなり、満たされない繁殖の欲求は、オスにもメスにも精神的ストレスとなります。

そして非発情期のやることがない。これが大問題なのです。ストレッサーが少ない上にやることがないのです。それだけでストレスなわけです。このストレスは何から来るのでしょうか?例えばこんなケースで考えてみましょう。人に慣れているセキセイインコさんが、ケージ内に1羽で居たとします。そこへ飼い主さんが帰ってきました。この仔は何をしますか?鳴いて出して欲しいと飼い主さんに一生懸命アピールすることでしょう。そこで出して貰えなかったら?またいつもは出してくれてたのに、仕事が忙しくて遊んであげられなかったら?この状態で鳥たちが感じているのは、”フラストレーション”です。フラストレーションとは、欲求不満のことです。飼い鳥は何らかの刺激(ストレッサー)を求めているのです。フラストレーションは、通常すぐには問題になりませんが、連続したフラストレーションは、精神的ストレスに発展します。鳥たちはストレス耐性が下がっている上に、本来感じる必要の無い、このフラストレーションにストレスを感じているのです。

フラストレーションを感じた時、それが解消され無いとどうなるのか?刺激を求めても外部からの刺激がないと、今度は自分で刺激を作り出そうとします。例えば1人で車を運転していて、順調に流れているんだけど、自分が走りたい速度より遅いと感じた場合、人は何をするのか?音楽でも掛ければ良いけど、その外部刺激もなかったら?そうすると人は、歌を歌ったり、身体をモゾモゾ動かしたりして何らかの刺激を作り出します。これを”自己刺激行動”と言います。実は、この自己刺激行動が過剰になったものが食欲が増す原因だったり、毛引き症の原因にもなっているのです。

次回は、いよいよストレトと肥満の関係について解説していきます。

なぜあなたの鳥は太ってしまうのか?Part④
テーマ: 小鳥大好き | ジャンル: ペット