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肥満は怖い!?

 前回はメタボ鳥が多いというお話させて頂きました。では鳥が肥満するとどういう病気が多くなるのかをお話ししたいと思います。

 肥満が原因で起こる最も多い病気は、脂肪肝です。脂肪肝は、使いきれなかった中性脂肪が肝臓の細胞にたまってしまう病気です。初期の段階では、レントゲン検査で肝臓が大きくなっている程度ですが、進行すると徐々に肝臓の細胞が壊れ、血液検査で肝機能の低下がみられるようになります。肝臓は体の中の化学工場です。腸から吸収した栄養を体に必要な物に変えて利用しています。この機能が低下すると最も顕著に異常が出るのが羽毛と嘴です。羽毛と嘴に必要な材料を作れなくなってしまうのです。オカメインコの黄色羽毛症候群やコザクラインコのレッドフェザーなどはこれによって起こってきます。また嘴の質が悪くなると伸びてしまい、出血斑という黒い斑点が出てきます。また肝臓は、解毒する機能も持っています。体の中では常に体に毒となる物質も作られています。その代表的なものがアンモニアです。肝機能が落ちるとアンモニアの処理ができなくなり体にたまってきます。そして限界を超えると脳が刺激され、痙攣を起こします。この状態を肝性脳症といいます。

 次に問題となるのが脂質異常症(高脂肪血症)です。脂質異常症とは血液中のコレステロールと中性脂肪が上昇している状態です。人の方では、以前は総コレステロールが200mg/dl以上とされてきましたが、最近ではLDLコレステロール140mg/dl以上、HDLコレステロール40mg/dl未満とされ、中性脂肪が150mg/dl以上が診断基準とされています。LDLは悪玉コレステロール、HDLは善玉コレステロールのことです。鳥では、まだLDLとHDLの測定まではしておらず、総コレステロールで診断しています。鳥の値は鳥種によって異なりますが、一般的な小型鳥の総コレステロールの上限は250mg/dl、中性脂肪の上限250mg/dlです。これを超えると脂質異常症となります。血液検査をすると、少しでも肥満をしている鳥のほとんどはこの値を超えています。重度に肥満した個体では、総コレステロールが900mg/dl以上、中性脂肪が1000mg/dl以上という異常な数値になっていることもあります。

 脂質異常症の血液は、かなりドロドロしています。脂質によって血液の粘度が上がってしまっているのです。血液を全身に送っているのはポンプの役割をする心臓です。ドロドロした血液を送り出すにはかなり圧力を上げないと循環してくれません。つまり脂質異常症は、高血圧の原因となるのです。脂質異常症と高血圧は、動脈硬化や心臓病の原因となります。

 肥満は、糖尿病の原因にもなります。鳥の糖尿病の発生原因や病態は、まだ研究が進んでいませんが、実際に肥満症の鳥に糖尿病の併発がみられます。

ではここまで出てきた病名をまとめてみましょう。
・脂肪肝
・脂質異常症
・動脈硬化
・高血圧
・心臓病
・糖尿病

 これらはどこかで聞いたことありませんか?そう、実は人の生活習慣病と全く一緒なのです。鳥の肥満は、人と同じ病気の危険因子であるということがいえるのです。

 鳥の生活習慣を作っているのは誰でしょうか?他でもない、飼い主さん自身ですよね。カワイイだけで飼っててはいけません。普通に飼っているつもりでも、いつのまにか愛鳥を病気の危険にさらしてしまっているのです。今からでも遅くありません。鳥の食事、運動について改めて考えてみて下さいね(^^